赤の疾風


そして、梳菜が萬天から少しばかり離れたとき、


「……うっ!」

「! 梳菜!?」


また病の症状が出た。

素早く、駆け寄る萬天。
彼は医者ではないため、梳菜が発作でも起こせば治しようがない。


しかし……


「あれ…?
萬天殿がお傍に来てくだすったら、苦しいんが、消えました。」


そこには、病魔に冒されているような姿はなかった。
とても血色の好い顔。

健康そのものの梳菜の姿ばかりが、そこにあるのだ。


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