赤の疾風
「不思議、ですねぇ…。
萬天殿といると、ちっとも気持ちが悪うならんのです。
むしろ、とっても元気になります。」
思えば、今まで何度か、予兆のような症状は何度か出た。
しかし、萬天といる間だけは、少しもそんな症状は出なかったのだ。
萬天は顎に手を当て、少し考える素振りをする。
どこか、困ったような顔にも見える。
「…梳菜、それはきっと、拙の、神通力によるものだ。」
「…じんつ…?」
聞き慣れない言葉に、梳菜は首を傾げた。