赤の疾風
「今日は梳菜と、町をあちこち散歩しようと思ってな。」
「わあ!それは素敵です!
…あ、でもわたしは…お仕事が残っとりますや…。」
シュンと肩を落とした梳菜。
だが萬天は、その肩を優しく掴むと、
「何。叱られるようなことがあれば、拙も叱られてやろう。
いつも働き詰めでは梳菜が参ってしまう。」
「! いいんでございますか?」
「勿論だ。」
梳菜は少し迷ったが、手を胸の上で握り合うと、
「では、お願い、します。」