赤の疾風
その表情を保てるなら……その表情をもっと与えられるのなら、喜んで力を尽くそう。
萬天の自分自身に誓った想いは止まらず、少女の体を強く抱き締めることで形となった。
「梳菜、お主はこの国の者とは違う。
そして、拙自身、この国の…人間達とは違うだろう。
だから、違う者同士、拙らは良き友になろう。
梳菜の喜びは拙の喜び。梳菜の感情全てを、拙に教えてくれ。」
萬天のよく通る声は、青々とした大空へ吸い込まれた。
そして、彼の姿をしっかりと見遣る梳菜の耳にも…
その言葉は、深く深く残った。