赤の疾風
ところが、萬天の答えは、梳菜の予想していた答えとは違っていた。
「嬉しい……?
梳菜はそうかもしれんな…。
だが、済まぬ…。
拙には、よく分からない…。
感謝されるということも、感謝するということも、そこに生まれる喜びも…。」
表情から分かるのは、困惑。
まるで生まれてから一度も…、感謝を受けたことがないような…。
―――そんなまさか……。
「萬天殿ほどのお人が…?」
「拙ほどの人……か…。」