赤の疾風
「あ、あんた、いい加減なこと言ってんじゃないだろうね!?」
最初に取り乱したのは吉代だった。
しかしながら、どれほど疑ろうと、事実は変わらない。
薬師は首を振るばかりだ。
そして、突如死を宣告された梳菜はというと…、
「………………。」
何も言えず、ただ固まっていた。
松ぼっくりを、胸の上で握り締めたまま。
体調が急変したとき、一瞬、本当に微かに考えてしまったのだ。
……自分が死ぬ運命を。