君が為に踊る
太陽がさんさんと差し込むマンションの一室。

ベッドから起き上がるのも辛い春の朝、高校2年三浦充は大きな欠伸をした。

「やべ…超遅刻じゃんかよ」

時刻は始業時間の10分前。学校は自宅から自転車で15分。遅刻。

「昨日のバイトかね」

充の生活はアルバイトで成り立っている。両親が海外に住むと言って家を出てからこのアパートの家賃・敷金の一切は充の月給で支払われている。

幸い学費は両親が払ってくれているが…

「おはよう御座います!三浦君また遅刻ですか!?」

登校一番に話しかけてきたのは隣の席の久留島さんである。

「あぁおはよ…ってあんま顔近づけんなよ頭痛いんだ」

充は寝不足で痛む頭をまた机に着陸させた。

「そだ三浦君!転校生来ましたよ!」

転校生…海外から来ると担任が言っていた。

しかしどこにも外人らしき方は居ない。

「ほら!あそこの席の子ですよ!」

居たのは充の勝手な偏見の金髪の留学生の様な人間ではなく、どうみても純正の日本人だった。

「てかちっこ」
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