必要性
「賭けてたんだよ」
彼は溜めていた思いを最初から用意してあったシナリオの如く話し始めた。
男性陣の間で私は堅物で有名だったらしく、そんな私を同期の独り身の男たちが落とそうと、賭けに出たらしい。彼も、2年ほど付き合った彼女と別れたばかりで、面白半分でその話しにのったらしい。そしたら、運良く傷心の身になった私が、彼の手にかかった。
なんとも絶句するような内容だ。
私は―――彼にとって、女としてではなく、人としてでもなく、そこら辺の道具と同じだったの―――…?
私は言葉を失い、ただ呆然と彼のつま先を瞳に映していた。