必要性

「えー…、近藤勇という男は、とても実直で筋の通らない話が嫌いで…」



新撰組屯所跡



案内係のおじさんの声が右から左へと耳を流れてゆく。



学生の頃から大好きな新撰組。



母にも、修学旅行で自分が歩いた道を歩いて欲しかった。
あのときの感動を伝えたくて、今日、ここに来た。



(懐かしい…)



4年前と同じ小太りのおじさんが、あの時と同じような事を話している。



それがまだ決意した日から4年しかたっていない事を余計に思わせる。



4年のうちに私は、戸籍上の親を亡くしたのだ。

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