もう一度 笑って



あたしは動けなかった



智世の血の気のない顔を見た



生気が失われていくのが
わかった


人の死を目の当たりにしたような…




呼吸してた?
心臓が動いてた?



だらりと下に落ちた手に
真っ青で痛みに歪んだ顔




海の動きも
朝倉の叫び声も


何もかもが
スローモーションだった


なのに
教室を出て行くまでが
早くて


あたしは…
何もできなかった



錘をつけた鎖で繋がれたみたいに
じっと教室の隅で
座っていた



智世の鞄を握り締めたまま



あたしは
ずっと座っていた




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