もう一度 笑って
ガタっ

物音に
あたしの視線があがる

教室に電気の明かりが広がった

「小久保さん?」

海が驚いた顔であたしを見た

そうだよね
こんな時間にまだ学校に残っているなんて
思わない

あたしだって不思議だよ
なんで学校にいるんだろう

やっと思いで
口角をあげて海に微笑んだ

微笑むほどの笑みにはなってない

ただ笑っているように
見せただけ

「智世は?」

擦れた声であたしは
海に質問をした

海の表情に悲しみが
広がっていった

「わからない
まだ手術中だから」

「そう…なんだ」

なんで手術をしているの?
とは聞けなかった

「それ、智世の鞄?」

海が指さした

あたしが抱きしめている鞄を
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