もう一度 笑って
「樹里!」

え?

本当に来たの?

私は顔をあげると、ドアのところに立っている男を見て、目を見開いた

「樹里、見合いなんてやめてくれ
俺と一緒にイギリスに行こう」

私はグリーンの瞳に吸い込まれた

は?
なんで?

なんでここに海がいるよ!

「きっと父上も樹里を気に入ってくれるよ
近々、王宮で踊舞会があるから、ぜひ樹里を国王に紹介したいんだ」

え?

話している意味が…よくわからない
『逃げるな。助けてやる』ってこういうこと?

私に一芝居打てってこと?

海が手を差し伸べてきた

「君は一体!」

父親が私の前に立ちはだかった

「俺は海・ジェイムズ・アスバルトンと申します
父はアスバルトン伯ジェイムズで、アスバルトン家の7世になります
ゆくゆくは父のもっているアスバルトン領にある城主になる予定です」

「イギリス貴族か?」

「はい。イギリスに戻ったら伯爵になる予定です」

海がにっこりとほほ笑んだ

「で、樹里とはどういう関係だ?」

「お付き合いさせていただいております」

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