もう一度 笑って
朝倉の背中と唇
マンションの前まで、朝倉の乗った車が送ってくれた

あたしと一緒に朝倉が車を降りると、携帯を開けて待ち受け画面をあたしに見せてきた

「あ……これっ!」

待ち受け画面がなんと
朝倉の撮ったあたしの淫らな格好の写真だった

「これは俺のな
俺に頂戴
今日のご褒美として」

いたずらな笑みで笑う朝倉

あたしは手を伸ばすと、携帯を奪おうと飛び跳ねた

「だーめ!
これは貰うって決めたんだ」

「誰が、あげるかっての
その画像も返せ」

あたしが奪おうとすると、朝倉の唇があたしの口に触れた

え?

朝倉の手があたしの背中に回り込む

「見合いが壊れて良かったよ
海にお礼を言っておけよ」

朝倉は優しく微笑むと、あたしに背中を向けた

『男は背中で語れ』

――小久保は笑って生きろよ――

朝倉の背中から、そう聞こえてきた気がした
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