もう一度 笑って
「最低女」

廊下に出てすぐに
低い声が聞こえてきた

朝倉が教室の壁に
寄り掛かって立っていたのだ


あたしと智世の会話を聞いたのだろう


一度も見せたことのない鋭い視線を
朝倉があたしの体に刺し込んできた


あたしは朝倉の睨みに驚いて
足が竦んでしまう

朝倉は鼻を鳴らすと
ポケットに手を突っこんだまま
廊下を歩きだした

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