もう一度 笑って
「そうよ」

「わかった
伝えてくれて、ありがとう」

海はコートのポケットから
携帯を取り出した

待って!
智世に連絡させないわ

私は海の腕に絡みついた

「ねえ、渡したいものがあるの」

「えっ?」

携帯を握ったまま、海があたしの顔を見る

視線はさらに下にいく

胸の谷間で動きが止まった

見えるようにわざと大きく開いた服を着たのよ

もっと見てよ

智世を忘れなさい

今日は一日
あたしと過ごしましょ

「これ…作ったの
初めてだから、美味しいかどうか
自信がないんだけど」

あたしはピンクのラッピング袋を鞄から取り出した

手作りよ

あたしが作ったわけじゃないけれど

あたしの家のキッチンで
今朝、作らせたわ

手作り感がよくわかるように
ちゃんと注文したから

初心者が作ったみたいに
なっているはずよ

さあ
受け取ってよ

あたしのチョコを
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