もう一度 笑って


「あ……」

教室の床に
智世のお弁当が散らばった


智世の表情が暗くなった

悲しい瞳で
裏返って床にへばりついた

お弁当を眺めていた


あたしの心は嬉しくなる


思わず口が緩みそうになり
慌てて唇に力を入れた




「ごめぇん、智世
どうしようっ!」




私は立ち上がって
慌てたふりをした


智世は首を横に振った



「あ、いいって
気にしないで」



「どうしよう
ごめん、智世がせっかく
作ったお弁当なのに…」

< 39 / 138 >

この作品をシェア

pagetop