もう一度 笑って
ベッドと治療場所の堺にあるカーテンの隙間から
二人の姿を覗き見た


朝倉が真っ青な顔をして
床に座り込んでいた


海は薬の棚を見つめていた
鍵のかかっている薬の棚だ


保健医がいないと出してもらえない薬が
朝倉には必要なのだろうか


「もう…大丈夫だから」


朝倉が立ち上がる


が、膝が伸びきる前に
朝倉の頭がぐらりと揺れた


倒れそうになる身体を
回転椅子を掴んで支えていた


なに?
朝倉がどうしたって言うのよ


「お前、無理しすぎだよ
昨日も病院に行ったんだろ?」


「今日も行くけど」


「駄目だ、今日は行くな」


海が首を振った


朝倉は長い足を折り曲げて
床に座り込んだ


頭をだらりと下に
向いていた


見るからにつらそうだ







病院って何?

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