もう一度 笑って
「もう……いいよ
別に海が好きってわけじゃないし」

「え?」

智世が真っ赤な瞳で
顔をあげた

紅潮した頬が
可憐さを強調している

「クラスメート全員の
卒業後の生活ってわかる?」

智世が不思議そうな顔をしていた

あたしは智世の隣に立つと
窓の外を見た

海が校庭を
楽しそうに走り回っている

「あたしは大学受験に失敗した」

「え? だって…」

「受かってないよ、大学になんか
浪人になる気もないし
就職先すら見つかってない

だから全て上手くいっている人間が憎らしかった

恋愛も学業も
すべてにおいて充実してるヤツがむかついた
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