もう一度 笑って

「ごめん
あたしのほうこそ
智世を苦しめたから」


智世が立ち上がった
あたしと一緒に
窓の外を眺めた


「お見合い、嫌だよね?」


「嫌だよ
20歳も年上の人と…
父親は結婚させるつもりでいるし
あたしの人生、最低だよ!」


教室の壁を蹴った


あたしの足が痛いだけで
悲しくなった


「将来有望な医師なら紹介できるけど…
今はしがない貧乏人なんだよね」


智世が海に手を振った



部活が終わったようで
智世に気がついた海も
手を振り返した


「もしかして朝倉とか
言わないでよ」


「なんだ、大輔くんが医学部に
進学してたの
知ってたんだ」


「え? 知らないけど…
あいつ、頭いいんだ」


「学年で一番だよ?」


「ええ?」



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