先生なんかじゃない
でもね
最近はちょっと、こんな関係もいいなって思ってるの。
そう思わせるのは、さっきの彼。
「おいお前ら、そろそろ教室戻ろーぜ。彩夏も困ってっから」
「もぉ!呼び捨てはゲンコツ!」
私が右手を上げて拳をブンブン振ると、その腕を軽く掴んで
「可愛いこと言ってると、もう一発デコに入れるぞ」
「はっ、離してー!」
あたふたする私を、高い位置から見下ろしながら笑ってる。
三年D組、梶尾吏惟。
実は前からちょっと気になる存在。
もちろんそんなこと、本人には言えないけど。
こうやってみんなとふざけてる中に、彼がいてくれること。
それが今は、私の嬉しい時間になってるんだ。