ネタも尽きたしお金もない。
「・・・わかりました。それで、被害届けだしますか?」
「お願いします。」
その質問に間髪入れずにカナは答えた。
恐らく、ここで被害届けを出さなければ状況説明だけで話は終わるのだろう。
それから、被害届けであろう書類にカナが必要事項を記入し、加害者であるアロハシャツのオヤジは店からどちらの方向に出て行ったのか。
最後に目撃したのは誰か。
警察が質問してきた事を、数時間前を思い出しあたしたちは答えて言った。
呆然としていてほとんど思い出せなかったあたしは、捕まえるための情報なんてほとんど話せなかったけれど。
アロハシャツのオヤジということくらいしか思い出せないのだから。