ネタも尽きたしお金もない。


「れん。ご指名」


そう言われてそのお客さんの席へと着く。


この人が、あたしにはじめて指名を入れてくれたお客さん。


1人で来ていることもあってか、前回よりも物静かな印象だ。



前回とのギャップがありすぎて、どうやって接していいか困った。




初めての指名。


せっかく手に入れたお客さんを逃さないためにあたしは、頭をフル回転させた。




「前回来て思ったんだけどね・・・」



Tさんは突然少しはにかんだような、だけどどこか真剣な眼差しで話し始めた。



何を言われるんだろう・・・。



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