ネタも尽きたしお金もない。
「夜の女の子たちってさ、所詮話したりすることが仕事じゃない?」
えぇ。
あたしもその女の子の1人ですが?
そうですね。と言いつつも次に何を言われるのか気が気じゃない。
「だけど、れんちゃんってさ、こうやって話してても全然営業トークって感じがしなくて。仕事としてじゃなくて、素で会話してくれてるってすごく感じるんだよね」
ん?そうか?
あたしは、あんたと会話を繋ぐ為に一生懸命だぞ?
「あたし、まだ働き始めたばかりですからねぇ。だからそう思えるのかも知れませんよ?」
少し甘えて上目遣いで話しかける。
「だからね?れんちゃんには、この世界に悪い意味で染まって欲しくないなぁって」
悪い意味で?
・・・よくわからん。
染まってしまうのも時間の問題のような気もするけれど。
「はい。Tさんに今日言われたことを忘れないで頑張っていきますね」
また、俺の席に来てね。
そう言って1度の延長してTさんは帰った。
夜の世界に染まっていないところがいい・・・
これって、Tさんにはよくても他のお客さんには通用するのか?