俺様!何様?執事サマ!?



「え…………?」




私はお父さんが何で死んだのかお母さんに聞いたことはなかった。


お父さんの話をすると、お母さんが悲しい顔をするのを知っていたから。


なのに、今


お母さんは話してくれてる。








「理事長さんに小さいお孫さんがいたんだけど。その子とそのイトコの女の子が車にひかれそうになったところを助けて、代わりに死んじゃったらしいわ」








「バカよね」って笑うお母さん。



バカじゃないよ。



かっこいいじゃん。










お父さんとの思い出なんて、数えるほどしかないけど。








――大好きだよ、お父さん。











目の前のお母さんの顔は、涙で少しぼやけて見えなかった。







笑ってると、いいな。



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