俺様!何様?執事サマ!?
「起きてもた。愛ちゃんは?」
「……寝れなくて」
「そか」と笑って、隣にくる。
そういえば、櫂は、知ってたんだよね。
「櫂……」
「ん?」
「爽のこと、どこまで知ってたの?」
「………事故って死なせたって、それを気にしててん」
私の頭を撫でる。
「そんで突然、愛ちゃんと契約するから何かと思ったら、その執事さんが愛ちゃんのお父さんだったとはなぁ」
やっぱり、知ってて私に近づいたんだよね……。
「……爽が、私に優しかったのは……お父さんのことがあったからだったのかな……」
ぽろっと口に出してしまった言葉に、櫂の手が止まる。
私の顔を覗き込んだ。
「もう恩返しは充分やったって思ったから、美羽さんのところにいっちゃったのかな……」
最初からあの笑顔も優しさも
私に向けられたものじゃない。
死なせてしまったお父さんに
顔の似ている美羽さんに、向けられたもので。
爽は、私のことなんか、見てなかった。
また、涙があふれてくる。
櫂は驚いたように私を見つめていた。