俺様!何様?執事サマ!?



「ご、めっ……」






もう、爽のことで泣きたくなかった。


櫂が悲しい顔をするから。


今だって、困った顔でいるに決まってる。






だけど、やっぱり、悲しいよ。







「…か、い…ごめ…」




最後にするから。




もう、泣かないから。




今は、泣きたい。







櫂が私の後頭部を引き寄せて、抱きしめられる。



「……泣いてええよ」







耳元でそう言うから、私はまた、櫂に甘えてしまうんだ。


< 189 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop