許嫁
「なんだお前、ずいぶんチビだな。その細腕で予選を勝ち上がった事は、褒めてやる。だが、運が良かっただけだ。けがをする前に棄権するんだな」


シリアの対戦相手は、三等兵のダビという力自慢の大男。


威嚇のために振り回した木刀により砂が舞う。


シリアは微動だにせず、佇む。


まだ始まっていない以上、驚いて動くことは相手の思うつぼだ。


「では、準備はよろしいでしょうか?」


審判は、2人が頷いたことを確認する。


「はじめ」

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