許嫁
「あら、あなた達、シンとシリヤのお客さん?」


2人が宿をとったのは小さな民宿。


屋根裏部屋には2人しか泊まっていない。


「はい」


本人だとは言えないのでそう答えるしかない。


「そうなの。あの2人はまだいる?」


「い、いいえ、2人は一足先に出かけましたけれど」


「あら、そうなの。行先はわかる?この2人がね。用があるんですって」


おかみさんは首をかしげながら言う。


「ヘキさん」
「リキさん」

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