許嫁
かわいい。


そんな言葉が学校一似合う男の子だ。


ぎゅ、ってしたい衝動を抑えて、笑顔を返す。


「逆に嬉しいよ。料亭料理みたいな高級なお弁当食べれるんだもん」


毎日はご免こうむりたいけれどもたまになら、最高だ。


「そう?代わってほしいよ。一度でいいからカップ麺お腹いっぱい食べてみたい」


彼の家のシェフが聞いたら泣くだろう。


「ほら、今日木曜だよ。柔道の日でしょ?」


「あっ!じゃあ明日お弁当よろしく」


颯爽と教室を後にする春樹に、「けがに気をつけてね」と言って手を振る。
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