許嫁
両手にいっぱいの荷物を抱え、マンションの階段を上る。


ストックの効く、醤油やマヨネーズ、油がここ1ヵ月で見たこともないような値段で売っていた。


自分が歩きだったことはすべて買い込んでしまってから思い出した。


家の鍵を取り出し、なんとかドアを開ける。


鍵をカギ穴に挿したまま玄関にどさっと荷物を置く。


「あれ・・・片付いている?」


って言うか、片付きすぎ。


そこには、荷物が1つもない。


塵一つないとはいえない。


まず、自分の目を疑い。


外に出て、自分のキーホルダーのついた鍵が鍵穴に刺さっていることを確認する。


ここ、私の家だよね。
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