許嫁
「到着いたしました」


そう言われて見たのは『家』というより『城』という言葉がしっくりくる。


大きさの建物に広大な土地。


高級住宅街で有名な旭日ヶ丘。


高級住宅地だとは知っていたけれども、まさかここまでとは思っていなかった。


「主人の所までご案内します」


あっけにとられて動けずにいる私に城、もとい屋敷へ入るように促す。


「お帰りなさいませ。お嬢様」


中に入ると大きなシャンデリアと数十名のメイドさんが出迎えてくれた。


お嬢・・・様


って、私のことだよね。やっぱり。


自問自答しながら呆気にとられていると、「こちらです」とエスコートしてくれる。
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