許嫁
「婚約者って誰なんですか!?お母さんは!?っていうかここどこですか!?」


私が早口にまくしたてると、主人に聞くようにと私を黙らせる。


書斎に着くとノックをする。


すぐに「どうぞ」と聞き覚えのある声が聞こえる。


「石神君・・・」


「ご紹介します。こちらは石神グループ次期会長石神健太様です」


金持ちだということは知っていた。


でも、まさか、あの石神グループの御曹司だとは思っていなかった。


私が呆気にとられているうちに健太は彼を下がらせる。


「とりあえず、座ったら」


自分の向の席を示す。


断る理由も見つからず、言われるがままに座る。
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