許嫁
「昨日メールでもいったけどおめでと。やっと第一歩を踏み出したね」


雪乃に聞こえないように小声で春樹は囁く。


「といっても、親が勝手にバラしただけで、あいつが思い出したわけじゃないけどな・・・」


「まぁ、もとから婚約者なんだし、細かいこと気にするなよ。それよりまずは気持ち伝えて色々行動起こさないと」


春樹の言葉に苦笑しか出ない。


「健太、ちょっと聞いてるの?」


「もちろん」


聞いていない。


雪乃の言葉に初めて彼女が何か話していたことに気づく。
< 34 / 123 >

この作品をシェア

pagetop