許嫁
「着いたぞ」


「ん・・・」


規則正しい車の揺れが気持よく、いつの間にか寝てしまったらしい。


こともあろうか、健太の膝で・・・。


「お前、寝顔不細工だな」


「なっ・・・」


膝まくらの事実を知って赤くなる私をからかう。


「ほら」


そう言って、ポケットからハンカチを取り出す。


「えっ・・・」


「涎、垂らしてる」


馬鹿にしたように言う健太は本当にムカつく。
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