許嫁
それでもすべてを許してしまいそうになるくらいかっこいい。


「嘘」


貸してくれようとしたハンカチを再びポケットにしまう。


本当に何なんだろう。


好かれているかはともかくとして、一緒に出掛けようというくらいだから嫌われてはいないと思う。


「それでは健太様、凛様楽しんで来てくださいね」


「隼人さん。ありがとうございます」


隼人に礼を言うと、動物園へ入る。


「手、貸せ」


「ちょっと、何するの」


素直に出した右手に健太は左手を重ねる。


「お前、迷子になりそうだし」


「・・・否定できないところが悔しいわ」


でも、万が一こんなところを学校の人に見られたら大変なことになる。
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