許嫁
「じゃあ、行くぞ」


さらに強く握り私を引っ張る。


「携帯番号教えて。迷子になったら連絡するし」


そう、こんな時のために携帯があるんだ。


なにも手をつなぐ必要なんてない。


「じゃあ、行くか」


持て余した右手をポケットに入れて先に歩きだす。


「ちょっと、待って。もうすぐ雪乃たちが来るはずだから」


「・・・」


「えっ、まずかった?」


あからさまに機嫌の悪い健太に多少ビビる。
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