許嫁
今さらながら、2人だけの空間。


密閉空間に健太と2人きりで、私はこいつの色気に勝てるのだろうか。


「おい、そっちに行ってもいい?」


もともと、4人乗りの観覧車、多少狭くなるが座ろうと思えば座れないことはない。


「ダメ。動かないで」


健太が腰を浮かせただけで揺れる。


「・・・お前、もしかして高所恐怖症?」


やばい、こいつにさらに弱みを握られる。


「そんなことはないけど」


「へぇ~」


強がって見てもバレバレなんだと思う。


完全に遊ぶ顔になって、動こうする。


散々、遊ばれたころには地上に着いた。
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