許嫁
「隼人、俺、何を間違えたんだと思う?」


凛の態度が気に入らない。


普通なら、「喜んで」と返事が返ってくるはずだ。


屋敷に着くと逃げるように車から飛び降り、走り去る凛を眼で追う。


こんなことを相談できるのは彼しかいない。


家族以上に気の許せる親友のようで、兄のような使用人。


使用人なんてひとくくりにできないくらい彼の存在は大きい。


「さあな。自分で考えな」


明確な答えを期待していたわけじゃないけれどもそんな答えではあんまりだと思う。
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