許嫁
「せっかく、台本書いてくれてるんだから、裏方だけじゃもったいないよ」


遡ること一週間前の役割分担を決めた時だった。


「台本は凛大先生のに決定」


台本候補は、3つ。


国語の成績がいい順に書かされた。


その中から一番好評だったのが私の書いた「現代版シンデレラ」。


将来小説家になりたいとか。そう言う希望があるわけではなかったけれど、選んでもらえるのは純粋にうれしい。


でも、役をもらうのは別だ。


「心配しなくても、相方は健太だし」


「ちょっと待って、相方って・・・」


嫌な予感がする。


「そう、凛はシンデレラで、健太は王子様。だって、私と張り合えるの凛だけだと思うのよ。私、手は抜きたくないし」


「いや、私、現役じゃないし・・・」


そういう心の叫びは聞いてもらえそうもない。

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