許嫁
突然教室の大きな音をたててドアが開いた。


「雪乃、おまたせ」


「春樹、遅い。待ちくたびれたわ」


両手を腰において仁王立ちになる。


「ちょっと台本のことで、相談があるんだ。凛も来てくれる?」


すまなそうに言う春樹の様子が気になる。


「げ!!」


雪乃は嫌そうな声を出し、私を振り返る。


見ない方がいいよ。


と言いたげな雪乃は無視して、陰から顔を出す。


「・・・・」


でしょ。


と、雪乃は得意げに目で訴える。
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