許嫁
「わたくしをみて妙なお顔をなさらないでほしいですわ」


見覚えのある顔に、聞き覚えのある声。


以前、健太に近づくなと言いにこられた方々だ。


もう嗅ぎつけたのだろうか。


さすが、自称親衛隊。


「何しに来たの?まぁだいたいの理由は想像できるけど・・・どうせ、凛の台本が気に入らないんでしょ!」


「えぇ、こんな下らない劇を学祭でやることが問題だと申し上げたいの。しかも、健太さまを巻き込んで」


そう言うと彼女は私を睨みつける。


いつものことだ。


この人に難癖つけられるのは慣れている。


なれるのはどうかと思うが仕方がない。


気にするだけ無駄だ。
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