許嫁
雪乃じゃなくても任せたくなる。


学校で彼以上の設計図を描ける人はいないだろう。


「学祭まで後一週間とちょっと・・・だよね。間に合うかな?」


カレンダーを見ながら隣に座る健太に弱音を吐いてしまう。


「お前次第だろ」


「だから、心配なんじゃん。ミシン使える子がほとんどいなくて、何気にほとんど衣装作らなきゃだし・・・」


両手を首の前で組み。下から見上げる格好でおねだりしてみる。


「何?」


「『俺にできることはない?』とか、優しい言葉はないのかなぁ?と、思って」


小首をかしげて、目をうるませて見るけど、彼に効果があるかは今はどうでもいい。


「俺にできることはない?」


棒読みで答える健太に、口の端を上げ、ニヤリと笑う。


「ということで、大道具は任せた」


「・・・・お前、嵌めたな」
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