許嫁
「凛、どうしたの?手が止まってる」


桜子が出て行ってからしばらくして教室を出た。


勝手にいなくなったことを責められ、再び仕事に戻る。


劇の衣装を作りながらも、どこかで桜子の言葉が気になる。


「あぁ、ごめん」


「凛」


「えっ・・・。やぁ・・・・」


縫いすぎた。


慌ててミシンを止めて、余計に縫った部分を解いていく。


動揺している自分が信じられない。


好き。


なのかもしれない。
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