許嫁
「さっきね。高宮さんが・・・健太に告白するって」


見るに見かねた雪乃に屋上へ連れ出される。


「10歳の時から好きだったんだって」

連れ出したくせに何も聞こうとしない雪乃にポツリポツリと語り始める。


「それで、凛は気になってしょうがないんだ」


「うん」


同級生で、誕生日からいくと1ヵ月だけ年下なのに、まるでお姉さんみたいに諭してくれる雪乃につい本音を漏らしてしまう。


「それで」


「本当は、付き合ってないのに否定できなかった」


本当は否定すべきだったのに、そうできなかった。


「健太のことが好きなんだ」


「・・・・そうかも」
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