許嫁
『プログラム番号15番、1年A組C組による劇、「シンデレラ」。みなさんがご存じのシンデレラを現代風にアレンジしました』


劇の紹介文が司会者によって読み上げられる。


出演者は、舞台裏でスタンバイ。


「どうした?」


「えっ・・・」


「そんなに気にしなくても、学生のやる劇だぜ。そんなに期待されてないから気楽にやれよ」


不安な様子が伝わったのだろう。


健太はそう言って私の気持ちを軽くしてくれた。


「頑張ろうな」


「うん」


最後にそうささやいてくれた。


何気ない一言だったと思う。


その一言が私に力をくれた。


「何いちゃついてんのよ」


雪乃が近づいてきてからかう。


「別に?」


顔が赤くなっているのを悟られないように下を向く。
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