許嫁
現代版シンデレラ
『昔々あるところに、シンデレラとシリア、ミリアという美しい三姉妹がいました。

シンデレラは父親の、シリアとミリアは母親の連れ子でした。

シンデレラとシリアはともに武道を好みお互いに切磋琢磨して剣の腕を磨いていました。

一方、ミリアは母に甘えるのが得意で、母親の一番のお気に入りでした。』


ナレーションとともに、幕が上がる。


「お母様、今日のお夕飯は、ハンバーグがいいわ」


ミリアがそう母にねだれば、母は決まってこういう。


「あら、ミリアちゃん、今日は、お魚がいいって言ったじゃない」


困った様子を見せるものの、母が自分の主張を尊重してくれることを知っているミリアは甘えるように母の腕に自分の腕をからめる。


「えぇ、でも今はハンバーグが食べたいの」


「えぇ、分かったわ。シンデレラ、ちょうどよかった。今すぐ、ひき肉を買ってきて」


「え～。今日は、魚って言ったじゃない」


買い物から帰って来たシンデレラに母は命令する。
< 89 / 123 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop