空色
試合終了。


ぐったりとした体を引きずるように体育館を出る。


「はぁぁぁあ・・・」
“両手に花”ってこういう事なんだね。

あたしの両手には差し入れや、応援の手紙でいっぱいだ。

おもい・・・。

いろんな意味で。


早く帰りたい、そう思って下駄箱へ急ぐ。急ぎすぎて、

――――――――どん!!


ぶつかった。



「っ・・・すいません」
『あっ、こちらこそゴメンなさい;』


可愛らしい女ノ子がこっちを見ている。
たぶん他の学校だろうな。
もしくは入学したての一年。

急いで起き上がり、あたしに向かって


『あ、あの!!』

なにか差し出した。

『水上先輩ですよね・・・これ。
 先輩に憧れてて・・・・////』

真っ赤になりながら、差し出したソレは
ラブレター・・・?



深呼吸を一つ。
           ・
「ゴメン、・・・・あたし女なんだ。」

告白されてこんな事返すのは、あたしくらいだろうな。

『・・・・スイマセンでした・・』
「ぅぅん、ほんとゴメン。
 ・・・こんなカッコだから勘違いしちゃったんだよね。」

『ぃぇ、ほんとに失礼なこと・・・』



そう言って、ペコリと女の子は頭を下げて
涙を浮かべて走って行く。

残ったのは






・・・・・・・あたしと手紙



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