water song(みずうた)
01.記憶と砂漠と歌声

01-01.記憶喪失と遭難

私は、私がどこから来たのか、知らなかった。

(どうやって、此処に来たんだろ?)

それだけでなく、自分の名前さえ解らなかった。

気付いたら、此処にぼーっと立っていた。

(誰かが、私を呼んでくれる?)

誰が、私を知っているのか、知らない。

つまり、私は記憶喪失のようだ。

しかも、私は着の身着のままだった。

手首を飾る、青と透明の2つの宝石が付いたブレスレットが、唯一の財産とも呼べそうだ。

カバンどころか、財布すら持っていない。

慌て、洋服の全てのポケットをひっくり返してみる。

結果、曲がった硬貨が3枚だけ出てきた。

(多分、銅かな…?)

何故銅と知っているのか?

考えたら、頭が痛くなってきた。

深く考えるのを放棄する。

すると、喉の渇きを覚えた。

(何か入れ物を探そう…)

…入れ物?水でないのか?

自分自身に問いかける。
< 1 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop