water song(みずうた)

04-03.お茶会と思惑

案内された部屋には、上品な紅茶の香りと、甘い焼き菓子の匂いが漂っていた。

テーブルには、テーブルクロスと純白のレース。

そして、優雅な手つきで、紅茶を飲んでいる街長。

街長は、扉の前に立つ私に自分の席の向かいの席を示す。

椅子を引き、テーブルにつくと、紅茶が目の前に置かれた。

くぅ〜。

お腹が情けない音を立てた。

思わず赤面してしまうが、黙殺しておく。

「ははは、可愛らしい音だ。どうぞお食べ下さい?」

街長に言われるが、私は手を出さなかった。

そのまま、街長を見つめる。

「何故…、何故貴方は私と仲良くしたいと思うのだ?」

街長を見つめたまま、私は問う。

「あまり見つめられると、照れますね」

ふざけた答えを返してくる街長に、苛立つ。

「ちゃんと答えて。」

「そうですね。あまり貴女にばかりかまっていられませんしね」

街長は、一口紅茶を飲み、カップを皿に置いた。

「我がカッセル家は代々、街長をしていますが…」

「カッセル…」

「ああ、名乗ってませんでしたね…」

(一々花を飛ばさないで欲しい)

「ハイン・カッセル、と言います。ハインとお呼び下さって結構ですよ?」
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