water song(みずうた)
「話が飛びましたね。」

話の度に、街長はキザな仕草をしている。

しかし、突っ込むと、話が長くなりそうなので、私はそのまま先を促す。

「ええ、我がカッセル家は、代々街長をしてますが、ワタシは日々街の領地を広げたいと考えてまして。」

何となく話が見えてきた。

(つまり…)

「貴女のその未知数の能力を使えば、それも夢では無いのです。協力してくれますよね?」

それは、依頼と言う名の脅し。
断れば最悪、街民達のリンチに遭うだろう。
一番最悪の場合だが。

(リスクは犯したくない。だけど…)

「出来ない。」

(そもそも、自分では使いこなせない力だから…)

例え自由に使いこなせたとしても、協力しようとは思わないだろうけど。

正直に答えたが、街長の気に入る回答でなかったらしい。

ピクリと、街長の眉がハネる。

「まぁ、そう早急にお返事が貰えるとは思ってません。
しばらくの間、こちらにご滞在下さり、ゆっくり考えてください。」

私の言葉は聞かなかった…という事なのだろう。

「そうそう、その格好お似合いですよ。見違えました」

「嬉しくない。服、返して」

「残念ながら処分させて仕舞いましたよ」
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